Dyno

ウェブサイトやランディングページの構築方法オプションまとめ

ウェブサイトやキャンペーンページ、ランディングページ等を作りたいときに利用できるツールがいろいろあります。 今回はそれらのオプションのうち代表的なものをかんたんな説明とともにまとめてみました。

ビジネス用途でウェブサイトやランディングページを構築する必要があって、どんなオプションがあるのかいまいちよくわからないという方はぜひ参考にしてみてください :)

想定読者

想定読者は、 ビジネス用途でウェブサイトやランディングページを構築したいと考えているウェブ業界以外の方 です。

One size doesn't fit all

人は、どこかからどこかへ移動する際に、徒歩・自転車・自動車・電車等さまざまな乗り物を使い分けます。 徒歩で 1 分のコンビニには徒歩または自転車で行くのがよいでしょう。 一方、 100 km 以上先の場所に行くのに、徒歩や自転車で行くのは非効率です。 自動車や電車、飛行機等を使うことが多いでしょう。

移動手段において、すべてのニーズに適した万能の手段はありません。 目的地や状況によって最適な手段は異なります。

ウェブサイトも同じです。 すべての場合に適した万能の構築ツールはありません 。 どこに行きたいのか、何をしたいのか、時間や予算はどれぐらいあるのか――目的や内外の環境に対して適切なツールを選ぶことが重要です。

構築ツールのオプション

ウェブサイトやランディングページの構築に使えるツールの代表的なオプションとして次の 4 つがあります。

  • a) 静的ファイル
  • b) ウェブサービス
  • c) CMS
  • d) フレームワーク

a) が最もシンプルで、下に行けば行くほど複雑になります。 複雑になるにつれて、できることの範囲も拡がります。 d) が最も複雑で最も高い技術力が求められます。

以下順に説明していきます。

a) 静的ファイル

HTML ファイルを直接編集してサイトを構築するパターンです。 この場合、パソコンで HTML ファイルを編集して、 FTP ツールを使ってウェブサーバにファイルを設置する、という形が基本となるでしょう。

HTML ファイルを編集できるテキストエディタとウェブサーバに接続できるネットワーク環境があれば始められるので、材料費や初期コストが最も低いオプションと言えるでしょう。 しかし、ウェブサービスや CMS が一般化した近年はこのオプションを選ぶべき状況は非常に限られます。

最小限のツールしか使わないパターンなので、移動手段でいえばこれは「徒歩」に相当します。

メリット:

  • テキストエディタ・ FTP ソフト・ウェブサーバがあれば始められる
  • CMS 等の技術知識が必要無い
  • CMS のセットアップ等の作業が発生しない
  • 材料費が最小限に抑えられる
  • ページ表示のパフォーマンスがよい
  • CMS 導入に伴うセキュリティ対応が必要ない

デメリット:

  • ページ管理者に HTML の知識が必要
  • 更新に FTP ソフトでのアップロード作業が必要
  • 複数のページに適用された共通レイアウトの変更が大変
  • 入力フォームやユーザ名のページ内表示等の動的な処理ができない

こんなケースに向いている:

以下の 4 つの条件をすべて満たしている場合は、有力な選択肢になりえます。

  • ページ数が少ない
  • 公開後の変更の必要が少ない
  • ページ管理者が HTML や FTP の知識を持っている
  • 動的な処理が必要無い

具体的なケースとしては、次のようなケースで選択肢に含めるとよいでしょう。

  • 期間限定のキャンペーンサイトやランディングページ
  • 予算や納期までの期間が非常に短いサイト
  • パフォーマンスやセキュリティのレベルをできるかぎり高めたい場合

b) ウェブサービス

ウェブサイトがかんたんに作れるウェブサービスを利用するパターンです。 サービスにユーザー登録をし、サービスの管理画面を使ってサイトを構築していく形になります。

代表的なサービスとして次のようなものがあります。

ウェブ技術者でない一般の方はもちろん、技術者でもブログ等の場合はウェブサービスを利用する形が一般的です。 特にブログに関しては、世界に存在するブログのほとんど―― 99% 以上はウェブサービスで構築されていると言ってよいのではないかと思います。 2000 年代は比較的シンプルなブログが構築できるサービスが主流でしたが、 2010 年代に入ってからはブログに比べて複雑なウェブサイトも構築できるサービスが急速に普及しました。

利用者がソースコードを見る機会は無いかあっても稀ですが、広い意味でこれも CMS に含まれます。

利用できる機能やサイト構成がサービス提供会社が提供するものに限定されるので、移動手段にたとえるなら「電車」(公共交通機関)に相当するでしょうか。 住まいでたとえるならマンション等の「集合住宅」に相当します。 メリット・デメリットも戸建てに対する集合住宅のそれに近いと考えるとよいでしょう。

メリット:

  • 初期の導入コストが抑えられる
  • ウェブサーバや HTML ・ FTP ・ CMS 等の知識が必要無い
  • ウェブサーバ・ドメイン等を個別で用意する必要が無い
  • CMS のセットアップ等の作業が発生しない
  • SNS 連携や SEO ・コメント機能等の基本的な機能が備わっている
  • 少ないコストで洗練されたデザインが利用できる
  • 技術的な知識がなくても入力フォーム等動的な処理が利用できる
  • セキュリティやパフォーマンス等の複雑な問題に悩まなくてよい

デメリット:

  • 利用できる機能・ページ構成・ページ内レイアウト等が制限される
  • SNS 連携や SEO 等の重要な側面で取りうるアクションに制限がある
  • 独自ドメインが取れない場合は SEO 効果に制限がかかる
  • CMS 等他の手段に移行したくなったときにデータが取り出せない等の制限がある
  • サービスが終了したときに強制的に引っ越し等の対応が必要になる
  • 得られる価値に対してランニングコストが高めになりがち

こんなケースに向いている:

以下の条件を満たす場合は、このパターンを選択肢に含めるとよいでしょう。

  • 一般にブログやサイトでよく見られる機能が実現できれば十分
  • 洗練されたデザインのサイトを低コストで作りたい
  • 初期費用・短期の費用を抑えたい
  • ウェブサーバやドメイン、 CMS 等の調達を個別にやりたくない(もしくは適切にできる自信が無い)

個人的には、このオプションをただ知らないために制作会社に CMS 構築をお願いしている会社が日本には非常に多いのではないかと感じます。

このオプションを選べば、制作会社に頼むと 50 万円かかるサイトと同等のものが、初期費用無し・月々数千円の費用で実現できることもあります。 デザインについても、ものによっては平均的なデザイナーが作るものより洗練されたものが安価で素早く利用できたりもします。 日本人はこのオプションをもっとうまく活用すべきだと私は考えます。

逆に、サービス会社が提供するサイト構成やレイアウト、 SNS 連携・ SEO 等における制限に不満を感じる場合は、このオプションは候補から外れるでしょう。

c) CMS

CMS をダウンロードしてきてセットアップしウェブサーバに設置するパターンです。 ここでは CMS とは何ぞやの説明はしないので、 CMS がどういうものか詳しく知りたい方は次の記事等を参考にしてください。

この選択肢を選んだ場合、サイト上のページのほとんどは CMS によって提供されるコンテンツ管理の仕組みを使って作成する形になります。 サイト全体の構成やページ内のレイアウトについても、 CMS が提供する機能で管理することができます。

CMS の代表例は WordPress / Joomla! / Drupal / Movable Type / DreamWeaver 等です。

メリット:

  • データ構造や機能・ページ構成・ページ内レイアウト等の自由度が高い
  • SNS 連携や SEO 等の重要な側面で最適なアクションが打てる
  • 入力フォーム等の動的な処理が利用できる
  • 一度セットアップを済ませたら、ページ管理者は HTML の知識がなくてもコンテンツを編集できる
  • 要件にぴったりの CMS やプラグインを選べば、低いコストで高い品質のサイトが作れる
  • 入力値チェックや自動レイアウト機能により人為的ミスがカバーできる
  • サイトのデータ一式を所有できるので次の引っ越し時の作業がスムーズ

デメリット:

  • ウェブサーバや FTP に加えて利用する CMS のことを学ぶ必要がある(あるいは知識を持つ人の協力を得る必要がある)
  • CMS のセットアップ等の作業が発生する
  • CMS が提供するページや機能のうち余計なものを無効化する必要がある
  • CMS 導入に伴うセキュリティ対応が必要になる
  • CMS のライフサイクル(寿命)の問題に対処する必要がある
  • 初期の導入(構築)コストが高い
  • 洗練されたデザインにするには多くの場合コストがかかる

こんなケースに向いている:

以下のようなケースでは CMS を選択肢に含めるべきです。

  • 静的ファイルで管理するにはページ数が多い
  • 作りたいサイトが既存のウェブサービスでは実現できない
  • ウェブサイトは作っておしまいではなく中長期的に積極的に活用するつもり
  • 一定の時間や予算をかけられる

本記事作成時点で、ビジネス用途でウェブサイトを構築するのであれば b) と c) のどちらかを選ぶべきケースがほとんどかと思います。 このあたりの見極めは、各オプションのメリット・デメリットをしっかり把握できていないと難しいので、意思決定の際に少なくとも 1 人は経験者にヒアリングや相談をするのがよいでしょう。

d) フレームワーク

「フレームワーク」と呼ばれる一種のプログラムパーツを使用してサイトを構築するパターンです。 フレームワークは通称で、より正確にはウェブアプリケーションフレームワークと呼ばれます。 上の CMS と同様、フレームワークの説明はここではしないので、興味のある方は次のページ等を参考にしてください。

フレームワークは通常、汎用的に作られた CMS では目的が十分に果たせないと判断された場合に候補にあがるオプションです。 CMS でできることをフレームワークを使って作ることもできますが、多くの場合は品質や費用対効果の面で CMS に劣ります。

CMS に比較してのメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット:

  • データ構造や機能・ページ構成・ページ内レイアウト等の自由度が CMS 以上に高い
  • CMS のセキュリティ脆弱性に対応する必要がない(フレームワークにも脆弱性はあるが、レイヤーが違う関係で一般に CMS はフレームワークよりも脆弱性が多い傾向にある)
  • 必要十分な最小限のものを作ることができるので、 CMS のように余計なページや機能を無効化する必要が無い
  • CMS だとかえってコストがかかる機能も普通のコストで実現できる

デメリット:

  • CMS よりも、適切に使うために必要となる知識やスキルのレベルが高い(少なくとも技術者がいないと使えない)
  • CMS よりも自由度が高い分、セキュリティ面での自己責任の度合いが高い
  • CMS よりもユーザーベースが小さいことが多いため、フォーラムでのサポートが弱いく
  • CMS よりも利用できるプラグインの数が少ない
  • CMS で一般に利用できる高品質なテーマが利用できない
  • CMS で実現できるサイトをフレームワークで実現するとコストが高くなる

こんなケースに向いている:

次の条件が満たされたときは、フレームワークによる構築を候補に含めるべきです。

  • 要件と既存の CMS とのフィットが薄い(要件に対して必要十分な機能を提供する CMS が見つからない)
  • セキュリティ技術力に自信があり、自分でセキュリティ面を担保できる
  • 技術力全般に自信があり、 CMS が提供するメリットよりも制限によるデメリットの方が多いと感じる
  • 既存の CMS で賄えない範囲の開発を行えるほどの十分な予算がある

ちなみに、フレームワーク利用に近いオプションとして、制作会社やシステム会社がゼロからプログラムを書いてサイトを構築する「スクラッチ」と呼ばれるオプションもあります。 しかし OSS 全盛のいま、スクラッチを選ぶべきケースは無いに等しいと私は思います。 理由は次の 2 つです。

  1. 無料で手に入る CMS やフレームワークの品質が非常に高く、同等のものをスクラッチで構築できる力を持った制作会社・システム会社は非常に少ないから(私の感覚値では、 100 社中 5 社無いぐらいだと思います)。
  2. 仮に同等のものが構築できる会社と取引ができたとしても、無料で手に入る CMS やフレームワークにはコストの面で劣るから。

...

以上です。

今回は 4 つのウェブサイト構築オプションについて、それぞれのメリット・デメリットも含めてご紹介しました。

大多数のケースでは b) ウェブサービス と c) CMS のどちらかが最適な選択肢になるはずなので、大枠の考え方としては、 まず最初に b) と c) を検討します 。 その上で、 もし CMS では要件が十分に満たせなくて技術力や予算が十分にあるのであれば d) を選び、構築すべきサイトやページが非常にシンプルで納期や予算が少ない場合は a) を選ぶ 、という形になるでしょう。

ただ、これはあくまでも大枠の考え方であり、どの選択肢が最適かは詳細の状況によって変わってきます。 実際にウェブサイトやランディングページの構築を検討する際には、ぜひこれらのオプションを適切に比較できる知識や技術を持った人に相談をするようにしてください。

ウェブサイトの構築ツールは One size doesn't fit all です。 ぜひ最小のコストで最大の効果が出せるツールを選んでウェブを最大限に活用してください :)