Dyno

CMS とは(定義・特徴・種類)

2018/05/16

基礎の基礎ですが、 CMS がどういうものかよくわからないぞという方に向けて CMS とは何ぞや にというご説明をします。

お断り

  • ここでいう CMS とはウェブサイト(≒ホームページ)を構築するための道具のことです。 別の意味の CMS を探している方は、再度検索エンジンで検索してみてください。
  • 私は WordPress (ワードプレス)、 Drupal (ドルーパル)という CMS の利用経験があります。 WordPress についてはあくまでも一利用者で、 Drupal には「書いたコードが Drupal でほんの少し使われている」程度の関わりをしています。 この記事ではなるべく中立的な説明を心がけましたが、経験によるバイアスがあるものと思います。

想定読者

本記事の想定読者は「 CMS に興味があるが、 CMS とはどういうものかよくわからない方 」です。 中でも、ウェブの世界やウェブ業界にあまり詳しく無い方を対象としています(ウェブに詳しい方のほとんどは CMS を知っているはずです)。

ウェブの世界にあまり詳しくない方を対象とするため、わかりやすさと正確性の両立が難しいところではところどころわかりやすさを優先しています。

目次

  • CMS とは
  • コンテンツとは
  • CMS の主な特徴
  • CMS の種類
  • 上位 CMS
  • CMS とは呼ばないもの
  • まとめ

早速見ていきましょう。

CMS とは

CMS とは Content Management System (コンテンツ・マネジメント・システム)の略で、 コンテンツと呼ばれるものの効果的・効率的な管理を支援するソフトウェア です。

本来はコンテンツを取り扱うソフトウェアをひっくるめて CMS と呼びますが、インターネットでコンテンツを公開するための Web CMS (WCMS) が特に広く普及しているため、 CMS といえば WCMS のことを指すことが一般的です。 WCMS は Google Chrome や Firefox 、古くは Internet Explorer 等のいわゆる「インターネットブラウザ」で閲覧できる HTML ページを生成するものです。

また後述しますが、世界中で最もよく使われている CMS は WordPress (ワードプレス)と呼ばれるオープンソースのソフトウェア(プログラムのソースコードが公開されていて、無償で使えるソフトウェア)です。

CMS はさまざまな使い方ができますが、その最も多い使い途は「ウェブサイト」です。 おそらく CMS を使って作られるもののうち 90% 以上はウェブサイトで、その他 10% が EC サイト・ SNS サイト・ウェブシステム・組織内サイト等です。

CMS の利用は年々増加しており、 2018 年時点で世界中のウェブサイトのおよそ半数の 50% 超が CMS を使って構築・公開されていると言われています。

手元に参照できる統計データがありませんが、残りの 50% は、 CMS ではない独自のシステム、静的 HTML 等ではないかと思います。

コンテンツとは

コンテンツと呼ばれるものの効果的・効率的な管理 」と上で述べたので、コンテンツとは何ぞやというところにも言及します。

広義の「コンテンツ」

コンテンツとは 人間向けに作られた情報 のことです。 少し抽象的なことばなので、いくらでも長い説明をすることはできますが、ひとことで言うと「人間向けの情報」というのがコンテンツの肝です。

とても意味が広く、小さな粒度でいえば、文章・画像・図表・イラスト・音声・音楽・動画、もう少し大きな粒度でいえば、記事・書籍・写真アルバム・音楽アルバム・歌劇・映画等がコンテンツに含まれます。 「この粒度のものだけをコンテンツと呼ぶ」といった縛りは無いので、コンテンツということばを使って会話をしていてもそれぞれが「コンテンツ」としてイメージするものが違っていることもよくあります。

英語の Wikipedia の Content (media) のページを少し見てみましょう。

In publishing, art, and communication, content is the information and experiences that are directed towards an end-user or audience. Content is "something that is to be expressed through some medium, as speech, writing or any of various arts". Content can be delivered via many different media including the Internet, cinema, television, smartphones, audio CDs, books, e-books, magazines, and live events, such as speech, conferences and stage performances.

私の翻訳:

出版やアート、コミュニケーションの世界において、コンテンツとはエンドユーザーあるいは聴衆に向けて作られた情報や経験のことです。 コンテンツは「スピーチや文章、制作物等のメディアを通して表現されたもの」です。 コンテンツは、多くのメディアを使って届けられます。 メディアには、インターネット、映画館、テレビ、スマートフォン、音声 CD 、書籍、電子書籍、雑誌、スピーチや会合や舞台パフォーマンス等のライブイベント等があります。

狭義の「コンテンツ」

広い意味でいうコンテンツは上のとおりですが、 CMS の文脈で言う場合のコンテンツのほとんどは「 デジタルコンテンツ 」です。

デジタルコンテンツとは、コンテンツのうち、 実体が電子データで、コンピュータの中に格納され、ネットワークを通して受送信ができるもの です。

具体的には、ウェブサイトの記事の文章や画像、 Podcast 音声や YouTube 動画、オンラインコースのクイズ等がデジタルコンテンツに含まれます。 広告が「コンテンツ」と呼ばれるのをあまり聞いたことがありませんが、これらもデジタルコンテンツという意味ではコンテンツと言えるでしょう。

さらに CMS を使ってウェブサイトを構築する文脈では、「コンテンツ」にはもっと具体的な意味が込められていることもあります。 このあたりは制作会社や CMS によって異なるので一概には言えませんが、一例をあげると、 Drupal という CMS では「ウェブサイトのページの中の、固有のメインエリア部分」を指して「コンテンツ」と呼ぶことがあります。

コンテンツの説明の最後に、私がいいと思うコンテンツの説明を引用してご紹介します。 オライリー社が出している『 Web Content Management 』という書籍の中の説明です。

How is content management any different from managing any other type of data?

There are to key differences:

  • Content is created differently.
  • Content is used differently.

...

Created by Humans via Editiorial Process

Content is created through "editorial process." This process is what humans do to prepare information for publication to an audience. It involves modeling, authoring, editing, reviewing, approving, versioning, comparing, and controlling.

...

Intended for Human Consumption via Publication to an Audience

Content is data we create for a specific purpose: to distribute it with the intention of it ultimately being consumed by other humans. Sure, it might be scooped up by another computer via an API and rearranged and published somewhere else, but eventually the information is going to make its way to a human somewhere.

私の翻訳:

コンテンツマネジメントは他のタイプのデータの管理とは何が異なるのでしょうか?

大きな違いが 2 つあります:

  • コンテンツは作り方が違う。
  • コンテンツは使い方が違う。

...

人間が編集プロセスを通して作る

コンテンツは「編集プロセス」を通して作られます。 このプロセスは人間が情報を受け手に公開するための準備として行うものです。 編集プロセスには、モデリング・作成・編集・校閲・承認・バージョン管理・比較・コントロール等が含まれます。

...

人間が消費するためのものとして受け手に公開される

コンテンツは人間が特定の目的のために作るものです。 その目的とは、最終的に他の人間に消費されることを意図して配布する、ということです。 確かに、他のコンピュータが API を使って取得されたり、再構成して別の場所で公開されたりすることはありますが、最終的にはその情報はどこかで人間に行き着きます。

最後に少し余談ですが、 present のカタカナは「プレゼント」ですが、 content は「コンテント」ではなく「コンテンツ」と呼ばれる形で普及しています。 「コンテントマネジメントシステム」と呼んでも差し支えない気がしますが、私はあまり聞いたことはありません。

CMS の主な特徴

ここまでで「コンテンツとは」そして「 CMS とは何ぞや」というところをご説明しました。 続いて、多くの CMS が備える一般的な特徴をご紹介します。

CMS はそれぞれ個性があり、細かいところを見ればひとつとして同じものはありませんが、ウェブサイトに必要なもの・よく求められるものは大部分共通しているため、 CMS の進化が進んだ近年はどの CMS もほぼ同じ特徴を共通で持っています。

例外的な CMS ももちろんありますが、世の中の多くの CMS には次のような特徴が共通しています。

  • ユーザーアカウント機能
    • ユーザ認証・認可機能
    • 一般ユーザ・管理者ユーザ機能
  • データ管理機能
    • データモデリング機能
    • データの集約機能
    • ファイル管理機能
  • 編集機能
    • コンテンツ編集機能
    • コンテンツ加工機能
  • 表示機能
    • ページ表示機能
    • ナビゲーション機能
    • テーマ機能
  • セキュリティ機能
    • 基本セキュリティ機能
    • 開発者向けセキュリティ機能
  • 拡張
    • プラグインシステム

ユーザーアカウントを登録してログインができて、各種データを管理することができて、システム内でコンテンツの編集・加工ができて、ブラウザからアクセスがあればメニュー等を付けてコンテンツをきれいにレイアウトしてページに表示するという機能は、詳細の形は違ったとしてもほぼ必ずどの CMS にも存在すると言ってよいでしょう。

不特定多数の人にアクセスされるウェブ上にシステムを設置してデータを置くということには、必ず何らかのセキュリティリスクが伴います。 セキュリティに詳しく無い人がサイトを公開することのリスクを減らして、開発者ができるだけ安全に拡張ができるようにする、といった面もメジャーな CMS であればほぼ必ず備えています。

有名なハーツバーグの動機づけ理論でいえば、これらの特徴は CMS 選びにおける「衛生要因」であり「動機づけ要因」ではありません。 一昔前であればこれらの機能を持っていることが CMS の「ウリ」になったかもしれませんが、近年ではこれらの機能を備えていることは当たり前で、あとは、これらの機能がどれだけ使いやすいのかや他の機能としてどんなものがあるのかといったポイントで各種 CMS は差別化を図っています。

CMS の種類

CMS の種類としてはどんなものがあるでしょうか。 CMS を分類するにはそれこそ無数の切り口がありますが、利用者目線で見たときに最も大きな切り口はおそらく次の切り口です。

インストールが必要かどうか

この切り口で分けると次の 2 種類の CMS があります。

  • a) 「ウェブサービス」タイプ
  • b) 「自分でインストール」タイプ

「ウェブサービス」タイプというのは、インストールをしなくても、ウェブ上でそのまま管理画面が利用できてブログやウェブサイトが公開できるものです。 正確にはこれはソフトウェアではなくサービスです。

具体的な例として、サイト構築用のものには Squarespace 、 Jimdo 、 Wix 、 Weebly 、 Google サイト等があります。 ブログ構築用のものには、みなさんご存知の、アメーバブログ、ライブドアブログ、はてなブログ、 Medium 、 Blogger 等があります。

ちなみに、ブログも CMS の一種です。 「ブログはブログ、サイトはサイト」と分けることもできますが、ブログシステムでも使い方次第でサイトとして使えるものが多く、最も人気の WordPress という CMS は元々はブログシステムとしてスタートしたこともあるので、 CMS の文脈ではブログとサイトの線引は余り重要ではないでしょう。

一方の「自分でインストール」タイプは、文字どおりの意味そのままで、利用者が個々に自分でダウンロードしてセットアップする必要があるものです。 こちらは正確にはソフトウェアです。

具体例としては、上であげた WordPress の他に、 Joomla! 、 Drupal 、 Magento 、 TYPO3 、 Sitecore 、 concrete5 、 Movable Type 等があります。 WordPress は少しややこしくて、 WordPress というソフトウェアそのものは後者のタイプですが、 WordPress.com は WordPress を

世の中の「 CMS です」と謳っているものの多くは「自分でインストール」タイプに属しますが、海外の CMS 統計等では前者の「ウェブサービス」タイプのものも含まれていることが一般的です。

オープンソースか企業製か

CMS を分ける上でもうひとつの大きな分類の切り口は「オープンソースか企業製か」です。

  • a) 「オープンソース」タイプ
  • b) 「企業製」タイプ

「オープンソース」タイプというのは、ソフトウェアのソースコードが一般に公開されていて、ソフトウェア自体は無償で入手できるタイプのものです。 多くの場合は世界中のボランティアの人たちによって開発がされています。

利用者視点で見たときの「オープンソース」タイプの CMS のメリットには、「無償で利用できる」「自由に改変・拡張ができる」というものがあります。 逆のデメリットには、「バグやトラブルで困っても自己責任」「厚いサポートが得られない」「人気が高いためセキュリティ攻撃の標的にされやすい」等があります。

上の「自分でインストール」タイプの例にあげた CMS はいずれもこの「オープンソース」タイプに属します。

一方の「企業製」タイプは、特定の企業によって開発され、所有権がその企業が持つタイプのものです。 正確に言うと「企業製」という呼び方は微妙で、「所有権がある」という意味のプロプライエタリ( proprietary )の CMS という方が適切です。

利用者視点で見たときの「企業製」タイプの CMS のメリットは、「何か起こったときに責任を取ってもらえる」「厚いサポートが得られる」「提供元が信頼できる企業の場合、社内説得が楽」「人気のオープンソース CMS よりも利用者が少ないためセキュリティ攻撃の標的にされづらい」です。 逆のデメリットには、「有償で、導入するだけで高い費用がかかることがある」「自由に改変・拡張ができない」「人気のオープンソース CMS に比べると進化のスピードが遅い」等があります。

ただし、これらはあくまでも全体的な傾向に過ぎません。 「オープンソース」タイプでも、コミュニティによって厚いサポートが得られるものもありますし、改変・拡張が現実的に考えて困難なものもあるでしょう。 「企業製」タイプでも、無償に近い費用で導入できる場合もあれば、脆弱性が頻出していてセキュリティ攻撃の的にされるものもあるでしょう。 「オープンソース」「企業製」というのはあくまでも所有権視点での分類にすぎないことにご留意ください。

CMS の切り口に関しては、他にも、「国内製か海外製か」「日本語情報は充実しているかどうか」「扱える制作会社が多いかどうか」「使われているプログラミング言語は何か」「 EC 機能の有無」等々、無数の切り口で分けることができます。

上位 CMS

世界中の CMS のシェアランキングというのが各所で調査・公開されています。 調査方法等によって多少異なりますが、上位はほぼ固定の顔ぶれです。

(並び順不同)

これらの中では WordPress が突出しており、シェアの点で 2 位の Joomla! におよそ 10 倍の大差を付けています。 2018 年時点で、 CMS ベースのサイトの 60% 、世界中のサイトの 30% 以上が WordPress で作られていると言われています。

詳細に興味のある方は次のページ等をご覧になってください。

ウェブサイトのライフサイクルは短くて数年、長いと 10 年以上になることもあります。 WordPress はその中で年々シェアを伸ばし続けているので、少なくともこの先数年、長ければ 10 年ほどは WordPress 一強の状態は変わらないでしょう。 「どれか 1 つ CMS を選びたいけれど、 CMS のことはよくわからない」「 CMS のよしあしを精緻に把握できる知識・経験が無い」という場合は、 WordPress を選んでおけばまず間違いありません(私は WordPress をメインには使っていないので、ポジショントークではありません)。

CMS とは呼ばないもの

逆に、 CMS とは呼ばないものもいくつかご紹介します。 これらを知っておくと CMS とそうでないものの境界線が明確になり、見通しがよくなります。

CMS に近いもの、あるいは、 CMS の一種であるが一般に CMS と呼ばれないものには次のようなものがあります。

  • CRM システム
  • EC カート
  • DAM システム
  • 静的サイト生成ツール
  • ウェブアプリケーションフレームワーク

個々の説明はここではしませんので、この中に名前の知らないもので興味のあるものがもしあれば調べてみてください。

まとめ

以上、 CMS とは何ぞやというお話を、 CMS の定義や特徴、種類等を取り上げながらさせていただきました。

このあたりは知っている方にとっては基礎の基礎でもあるので、理解に自信がなくてもいまさら「 CMS って何?」と質問するのもなかなか難しいのではないかと思います。 この記事を読んで不明点を解決していただけたなら幸いです :)

お役に立った場合はシェア等していただけるとうれしいです。

CMS についてより深い見通しを持ちたい方には、途中でも取り上げた『 Web Content Management 』という書籍がおすすめです。 英語の書籍に抵抗が無くて CMS に興味のあるぞという方はぜひ一度手に取ってみてください。