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ウェブ制作の発注者はウェブについてどこまで学ぶべきか

今回は ウェブ制作の発注者はウェブについてどこまで学んでおくべきか ということについて述べます。

前提として、ここで述べる発注者は ウェブプロジェクトを成功させたいと強く望んでいる こととします(この前提がないと「何も学ばなくてもよい」という結論になりかねず、議論になりませんもんね……)。

発注者が学ぶべきこと=重要な意思決定に必要な知識

早速結論ですが、ウェブ制作の発注者側は ウェブ制作の重要な意思決定に必要な知識 を学ぶべきです。 逆に言うと、重要な意思決定に影響しない、デザインやシステム、セキュリティ等の細かな知識は必ずしも身につける必要はありません。

もちろん、個人的な興味として学びたいのならどこまででも学んでよいのですが、ビジネスの費用対効果ということでいうと、 細かな部分は極力制作会社に任せて発注者側は大きな部分に集中する というのが原則です。

重要な意思決定というと、ひとつには ウェブ活用の全体戦略 があります。 ウェブ制作は「ウェブ活用」という上位の取り組みの中の一部分と捉えることができますが、大きなくくりにおける全体方針の決定というのは、重要な意思決定のひとつです。

また、戦略よりも下のレイヤーの「戦術」「アクション」においても 事業や施策の CSF (成功を左右する重要な要因)に関わる部分の決定 も、重要な意思決定に含まれるでしょう。

例えば、戦略の一環で自社メディアを作ろうということになった場合、施策の根幹となる、自社メディアの目的・目標・ CSF ・ KPI の決定は発注者が自身で行うべきです。 そのあたりも外部のコンサルタントや制作会社に任せたり丸投げしたりすることもできますが、それはプロジェクトの命運をすべて外部に委ねてしまうということです。

プロジェクトが失敗しても外部のコンサルタントや制作会社には契約の範囲内でしか責任を追及することができません。 それでもいいから外部に委ねたいということであればそれもありでしょう。 そうではなく、プロジェクトの命運を分ける重要な部分を自社でコントロールしたいのなら、そのために必要な知識は発注者自身が必ず身につけなくてはなりません。

どんな知識が必要かは状況によって変わる

では、重要な意思決定に必要な知識を身につけるために具体的にどうすればよいかなのですが、これは発注者の事業環境や前提知識やプロジェクトの性質によって大きく変わってくるので、すべてのケースにあてはまる万能の答えはありません。

そのため、まずは「このプロジェクトにおいて重要な意思決定を間違わないための知識とは何なのか」を特定することが第一に必要な作業になります。 その方法にも教科書的な答えは無いので結局は各自が自身で考えて調べるしかありませんが、少なくとも「重要な意思決定」という視点があるかどうかで効率は大きく変わってくるでしょう。

ただし、プロジェクトの性質によらず発注者が必ず身につけるべきことというのもあります。 次の 2 つはその代表です。

  1. マクロ環境の知識
  2. 利用者感覚

マクロ環境 とはフレームワーク PEST 等に代表される、大きな視点での事業環境のことです。 特に、ウェブに関連した統計情報、端末やブラウザのシェアやターゲット層のウェブ利用動向等の情報は、発注者自身が押さえておくことが必要です。

利用者感覚 とは、いち利用者として見た自社や競合のサービスに対する感覚、ウェブ全体に対する感覚です。 ウェブ施策を決める上では、いち利用者としてアリかナシかという視点からの判断が必要ですが、意外と持てていない発注者の方が多いようにも思います。

よほど画期的で世の中に存在しない新しいウェブサイトやウェブサービスを生み出すということなら話は別かもしれませんが、世の中の 99% の「普通のプロジェクト」ではマクロ環境の知識や利用者感覚を持っていないとウェブプロジェクトの重要な意思決定を正しく行うことなどできないでしょう。

……

というわけで、ウェブ制作の発注者側がウェブについて学んでおくべきことというお話でした。

「重要な意思決定は発注者が責任を持って行う」「重要な意思決定に必要な知識は発注者自身が持つ」――考えてみれば当然のことではありますが、このあたりの認識が欠けたままで制作会社に依頼をしてしまい思うような結果が得られないプロジェクトは世の中にたくさんあるので、発注者側の方はぜひ参考にしてみてください。