Dyno

ウェブサイトの適切なリニューアル頻度とは?

今回はウェブサイトリニューアルの適切な頻度についてのお話です。

企業でウェブサイトの管理を担当されている方であれば「自社のサイトは何年ぐらいでリニューアルするのがよいのだろう?」と疑問に思われたことが一度はあるものと思います。

仕事柄「ウェブサイトは何年に一度ぐらいリニューアルするのがよいですか?」という質問を聞かれることがありますが、これには 2 通りのアプローチで答えることができます。

  • 世間の相場から
  • 損益のロジックから

世間の相場から

まずひとつめは 世間の相場 をもとにした回答です。

あくまでも私の感覚値ですが、 企業のウェブサイトのリニューアル頻度のボリュームゾーンは 3 〜 7 年 です。 中央値はおそらく 4 〜 6 年 の間にあって、ウェブサイトを重要なチャネルと位置づけている企業の場合はサイクルが短く 2 〜 3 年、ウェブをあまり重要視していない場合は 6 〜 10 年ぐらいが多いのではないかと思います。

事業戦略の中でのウェブサイトの位置づけやウェブサイトの種類によって大きく変わるので一概には言えませんが、さまざまなタイプのサイトをひっくるめてざっくり統計を出してみると、大体 3 〜 7 年でリニューアルをするサイトがおそらく大多数です。

損益のロジックから

もうひとつのアプローチは 定量的な損益のロジック をもとにした回答です。

こちらは ウェブサイトを投資と考えて収支が最もよくなるタイミングでウェブサイトをリニューアルする という考え方です。 本来、自社サイトのリニューアル頻度の意思決定はこちらの考え方で行うべきです。

複雑なことは特になく、要は設備投資の考え方をウェブに適用するだけです。 リニューアルの初期費用とその後の運用保守費用、そして、ウェブサイトによって得られる売上の伸びまたは費用の減り幅を考慮して、プラスが最大となるリニューアルのタイミングを選びます。

この考え方をする場合、 「前回のリニューアルから何年経っているか」はあまり重要ではありません 。 例えば、現行サイトが前回のリニューアルから 10 年以上経っていたとしても、機能・デザイン・パフォーマンス・セキュリティ等の面でいずれも問題なく、仮にリニューアルをしたとしても伸び幅が小さく十分なメリットが得られないのであれば、リニューアルは行うべきではありません。

逆に、たとえ前回のリニューアルがほんの半年前だったりしてあまり時間が経っていなくても、サイトに著しい問題がありリニューアルをすることで十分な改善が期待できるのであれば、いくらリニューアル間隔が短くてもリニューアルを行うべきでしょう(ただし、実際のケースではリニューアル以外の選択肢も考慮するのがよいでしょう)。

「見栄えが古くなったから」では不十分

ちなみに、私がよく耳にするケースとして、多くのウェブ担当者は「サイトの見栄えが古くなったから」という理由でサイトリニューアルの検討を始められますが、この考え方には注意が必要です。 「サイトの見栄えが古くなったから」だけでは投資の根拠として不十分です。 ステークホルダーの理解と協力を得てリニューアルを成功させるには、「どれだけの損失(機会損失を含む)が発生しているか」を具体的に数字で出す必要があるでしょう。

当然ながら、この損益のロジックのアプローチには限界があります。 それは「担当者の主観を完全には排除できない」というものです。 数値化の際にはいくつもの前提・仮説が必要になりますが、そこには主観が必ず入ります。 しかし、主観を 100% 排除できないというからといって、損益のロジック自体が役に立たないと考えるのは早計です。 その限界を認識しながら使うのであれば、損益のロジックは十分役に立つものになるでしょう。

ということで、 ウェブサイトはどのくらいの頻度でリニューアルするべきか というお話でした。

最後にまとめます。

  • 世間の相場だとサイトのリニューアル頻度は 3 〜 7 年
  • ただしサイトの位置づけやタイプによって相場は大きく異なる
  • 実際にリニューアルの時期を検討する場合は相場に捕われず、あくまでも自社の損益の視点から定量的に判断するのがよい

ウェブサイトのリニューアル間隔・賞味期限というものに興味のある方のご参考になれば幸いです。 このあたりの検討のサポートも行えますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください :D