ウェブサイト・ウェブシステム・ウェブアプリケーションの違い
今回はウェブ制作・システム開発関連の用語である次の 3 つの用語の違いについて説明します。
- ウェブサイト
- ウェブシステム
- ウェブアプリケーション
早速結論ですが、実用上は どれも似た意味合いで、大きな違いはない と考えてよいと思います。 強いて分けるなら、 機能が比較的シンプルな「ウェブサイト」と複雑な「ウェブシステム」「ウェブアプリケーション」の 2 つに分ける ことが一般的です。
「ウェブサイト」は一般に特定のドメインの下で公開されたウェブページの集まりのことを指します。 ページの実体は静的な html ファイルのこともあれば CMS 等のプログラムで動的に生成されていることもあります。 他方の「ウェブシステム」「ウェブアプリケーション」の方は一般にリクエストの内容に応じて動的に生成したページを返すタイプのウェブサイトだけを意味します。 つまり、 ウェブサイトは静的の場合も動的の場合もありますが、ウェブシステム・ウェブアプリケーションは動的のもののみ です。
また、「ウェブサイト」は所有者から訪問者への「情報発信」のためのものです。かんたんなコメント機能や検索機能はあったとしても、中心的な役割が情報を一方的に発信するものは「ウェブサイト」だと言えます。 「ウェブシステム」「ウェブアプリケーション」の方は、ウェブサイトが持つ情報発信の機能に加えて、管理者以外のサイト利用者がユーザー登録をしたり情報を入力したりできる「双方向コミュニケーション」のためのものという考え方が一般的です。 つまり、 ウェブサイトは主に情報発信のためのものであり、ウェブシステム・ウェブアプリケーションは双方向のコミュニケーションのためものです 。
また、「ウェブシステム」と「ウェブアプリケーション」の違いについてですが、これらの間の違いは実用上ほとんど無いと思います。 厳密に言うなら「システム」は意味が広い言葉なので、「ウェブシステム」は「ウェブに関係する情報システム全般」を指す可能性があります。 他方「ウェブアプリケーション」の方はもっと意味が明確で「サーバ上に設置されウェブ経由のリクエストに対して応答するソフトウェアアプリケーション」を指します。 個人的な印象では、伝統的な SIer では「ウェブシステム」を、若い会社では「ウェブアプリケーション」を使うことが多いイメージです。
ただし、冒頭で述べたとおり、実用上大きな違いはありません。 「ここからここまでがウェブサイトで、ここからここまではウェブアプリケーション」と厳密に線引きしてもあまり得られるメリットは無いのではないかと思います。
ちなみに、私の知るかぎり英語圏では「ウェブシステム」に相当する「 web system 」という言葉はあまり使われていません。 近い言葉だと web information system や web-based information system 等がありこれらが使われているのを見かけることはありますが、「 web system 」はほとんど見かけません。
もうひとつちなみに、「ウェブサイト」と同じ意味合いで使われる言葉に「 ホームページ 」があります。 「ウェブサイト」と「ホームページ」の違いについては 一般用語として使われる場合はどちらも同じもの を指すと思ってよいと思いますが、 厳密に言うなら「ホームページ」は「ホームとなる最初のページ」のことであり、「ウェブサイト全体」という意味はありません 。 英語圏では「ホームページ=ウェブサイト」という考え方はあまりされません。
というわけで、「ウェブサイト」「ウェブシステム」「ウェブアプリケーション」の言葉の意味の違いについてでした。
尚、今回お話ししたのはあくまでも筆者の解釈であり 100% 正しいとはかぎりません。 このあたりの言葉の定義はウェブ業界・システム開発業界の中でも人によって違うので、人と話をしていて言葉の意味合いに「おや?」と感じることがあれば遠慮せずに都度確認するのがよいと思います。
ご参考になれば幸いです。
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