Dyno

ウェブサイトのことを「ホームページ」と呼ぶのはあり?なし?

今回はウェブサイトのことを「ホームページ」と呼ぶのはありかなしかという小ネタです。

先に結論ですが、ウェブサイトを「ホームページ」と呼ぶことについて私は「どちらかというとなし」の「どっちでもよい」派です(笑)

……

読者の方は「ウェブサイト」と「ホームページ」の意味の違いをご存知でしょうか? おそらくウェブ業界に身をおいている人であればご存知でしょうし、ウェブ業界以外の方だと「え、同じものでしょ?」と思われる方が多いのではないかと思います。

ご存知のとおり日本ではウェブサイトのことを「ホームページ」と言ったり「 HP 」と書いたりすることが一般的になっています。 試しに後ろに「制作」をくっ付けて Google で検索してみると次の結果が出ました。

  • 「ホームページ制作」 約 565,000,000 件
  • 「ウェブサイト制作」 約 90,800,000 件

「ホームページ」が「ウェブサイト」の約 6 倍です。 制作という文脈においては「ホームページ」が主流のようです。

「ウェブサイト」と「ホームページ」の本来の意味

ウェブサイトとホームページの本来の意味合いはおおよそ次のとおりです。

ウェブサイト:

  • 特定のドメインの下に公開されたウェブページ一式

ホームページ:

  • 主に次の 2 つの意味で使われる
  • ウェブサイトのホーム : ウェブサイトの正面口にあたるページ
  • ウェブブラウザのホーム : ブラウザで新しくタブを開いたときの初期画面

つまり、両者は本来は別の意味のことばです。 たとえるなら、ウェブサイトが「メガネ」だとすれば、ホームページは「レンズ」のようなものです(レンズがメガネの主要な構成要素のひとつという意味で)。

しかし現実には「ホームページ=ウェブサイトのホーム」が転じた「ホームページ=ウェブサイト」という用法が日本では一般的になっています。

なぜ「ホームページ=ウェブサイト」になったのか

なぜ「ホームページ=ウェブサイト」という用法が日本で広まったかについては諸説あり正確なところはわかりませんが、おそらく次の 2 つの要因が大きいのではないかと思います。

  1. 「ホームページ」ということばが生まれた英語圏で元から「個人が持つウェブページまたはウェブサイト」のことを「ホームページ」と呼ぶ風潮があったこと(英語版 Wikipedia にその旨の記述があります)。
  2. メディア(テレビ・新聞・雑誌・書籍)や関連ソフトウェア(「ホームページビルダー」等)のベンダー企業が、日本人に馴染みの薄い単語から構成された「ウェブサイト」よりも身近でわかりやすい単語で構成された「ホームページ」を積極的に使ったこと。

この結果として今日日本人の多くが「ホームページ=ウェブサイト」と認識するようになったと私は考えます。

世間一般・ウェブ業界・海外の人たちの現状

「ホームページ」のことばの意味を世間一般・ウェブ業界・海外の人たちはそれぞれどのように認識しているでしょうか。

世間一般 : 「ホームページ=ウェブサイト」の認識の方が多いようです。少なくとも私の狭い観測範囲では「ホームページ」ということばを使う人が多数派です。

ウェブ業界 : ウェブ業界に身をおいている人のおそらく 90% 以上は両者を別物として認識しています。残りの 10% くらいの人はというと、わかっていない、あるいは気に留めたこともない可能性があると思います。。。

海外 : こちらもあくまで私の狭い観測範囲に基づく認識ですが、英語圏で「ホームページ=ウェブサイト」と認識している人はほとんどいません。ウェブサイトのことは普通に「ウェブサイト」と呼んでいます。英語圏のウェブ業界で働く人が「 HP 」という表記を見たら、ヒューレット・パッカード社をイメージする人の方が多いと思います。

つまり、「ホームページ=ウェブサイト」という意味の「ホームページ」の使い方は日本ならではのものであり海外の人には通じません。 国内のウェブ業界にいる人たちも大多数は「ホームページ≠ウェブサイト」と認識しています。

ちなみに余談ですが、ウェブ制作の management や managers を指して言う「ディレクション」「ディレクター」、 IT engineers を省略して言う「エンジニア」、 SI 会社を指す「 SIer 」(えすあいあー)、システム開発フェーズの「基本設計」といったことばなんかも日本ならではのガラパゴス用語です。 比較的新しいウェブ・ IT の世界でも日本は独自進化していて、英語の情報源に日々触れているとわりと頻繁に国内外のギャップを感じます。

「ホームページ=ウェブサイト」はあり?なし?

「ホームページ≠ウェブサイト」を理解している人たちの中には「受容派」と「拒否派」がいます。

受容派は、「ホームページ=ウェブサイト」という見方がすでに世間一般に広まっていること、ことばの意味は時代とともに移り変わっていくこと等を理由に「ホームページ=ウェブサイト」の考えを受け入れています。 拒否派は、本来の意味に立ち返るとやはり「ホームページ≠ウェブサイト」であること、「ホームページ=ウェブサイト」という考えは海外の人には通じないこと等を理由に「ホームページ≠ウェブサイト」の考えを貫いています。

いずれにしても発注者側には「ホームページ」を使う人がいまだに多いことが業界人には悩ましいところです。 発注者には「ホームページ」を使う人が多いため、多くの制作会社にとって SEO キーワードとして魅力的なのは断然「ホームページ」の方です。 しかし、「ホームページ」と書くと、見る人が見れば「わかっていない感」「アマチュア感」が強く出るため、自社サイトで「ホームページ」と言うかどうかはちょっとした悩みポイントです。

「ホームページ=ウェブサイト」をありとする考え方もなしとする考え方もどちらも一理ありますが、個人的に私は「なし」派です。 やはり「ホームページ」と「ウェブサイト」は別物ですし、それを知っている人は知らない人に教えてあげる方がよいと思います。

しかし、私は友人知人との会話で「ウェブサイト」を指す意味で「ホームページ」ということばが出てきても話の本筋に影響ないかぎりは指摘はしません(笑)。 あえて聞かれれば説明しますが、そうでなければそのままです。

ということで、ウェブサイトを「ホームページ」と呼ぶのはありかなしかというお話でした。