Dyno

ウェブ制作やソフトウェア開発における「要件」と「要求」の違い

2019/02/22

ウェブ制作やソフトウェア開発のプロジェクトに関わると必ず耳にすることばに「 要件 」と「 要求 」というものがあります。 今回はこの「要件」と「要求」の違いについて小話をしてみたいと思います。

さっそく結論ですが、 「要件」と「要求」に意味の違いはありません 。 単に呼び方が違うだけです。 どちらもソフトウェア開発の本家である英語圏ではどちらも同じ「 requirements 」で、やわらかいことばで言えば「必要なこと」「押さえるべきポイント」を意味します。

と聞くと、「要件と要求とは別物だ」と聞いたことのある方には次のふたつの疑問が浮かんでくるのではないかと思います。

  1. なぜ「要件」と「要求」というふたつのことばがあるのか?
  2. なぜ一部のウェブ制作会社・ソフトウェア会社が「要件と要求は違うもの」と言っているのか?

これらに対する私の考えを以下に述べてみます。

なぜ「要件」と「要求」のふたつのことばがあるのか? これには特に深い意味は無いと思います。 「カンバン」「カイゼン」等の一部の用語を例外としてほとんどの ICT 用語は英語圏で生まれて日本に輸入されますが、「 requirements 」という概念を輸入するときに「要件」と「要求」というふたつの流派が生まれた、ただそれだけのことだと思います。

なぜ一部のウェブ制作会社・ソフトウェア会社が「要件と要求は違うもの」と言っているのか? これはそれらの会社の人たちが単に英語の文献を読まないからかと思います。 例えば

  • 要求とは、顧客が求める「こと」である
  • 要件とは、要求を満たすためにシステム(「もの」)が満たすべきポイントである

といった説明がされていることがありますが、源流である英語では前者は business requirements 、後者は software requirements ( system requirements )と一般的に呼ばれます。 私が知るかぎり「要件」「要求」に相当する言葉の使い分けは英語圏では一般的ではありません。 このことはソフトウェアの設計や業務分析の定番的な英語の文献をある程度読んでいればおそらく誰でもわかることです。

……

ただし、要件と要求が同じとはいっても、「ビジネス要件」「機能要件」「セキュリティ要件」「運用要件」「保守要件」といった感じでさまざまな領域に細分化することができます。 そして、実際にウェブ制作やソフトウェア開発のプロジェクトを進めるときはこれらを明確に区別することが大変重要です。 そのため、要件・要求の話題になったときには「要件か要求か?」を問うことには(独自のローカルルールを作っているのでなけれ)あまり意味はなくて、それよりも「これはどの○○要件にあてはまるか?」を正確に把握し認識を共有する必要があります。

ということでまとめです。

  • 要件と要求は本来同じもの
  • どちらも「必要なこと」「押さえるべきポイント」を意味する

「『要件』と『要求』の違い」という小話でした。