Dyno

「 CMS 無料」で検索してもピンとくる記事が引っかからない理由

2018/05/21

お断り: この記事はビジネス用途で CMS の活用を検討している方に向けて書かれた記事です。趣味での CMS 利用にはあてはまらない部分もあります。

CMS 関連の調べもので Google 検索で検索をしていると、「 CMS 無料 」「 CMS 無料 おすすめ 」「 CMS 無料 2018 」といったキーワードが関連キーワードに提示されることがあります。

ウェブ制作に関わるほとんどの人がこれらの検索ワードがあまりよくないことが瞬間的にわかりますが、 Google 検索のサジェストにあがってくるということは、多くの一般の方がこれらのキーワードで検索しているということなのでしょう。 私の想像では、これらのワードで検索する方は「 おすすめの無料 CMS ○選! 」「 プロが自信を持っておすすめする無料 CMS はこれだ! 」といった記事を期待しているのではないかと思います。

今回はこの 「 CMS 無料」といった検索ワードで検索してもピンとくる検索結果が得られない理由 をご説明します。

もったいぶらずに早速結論ですが、「 CMS 無料」等の検索がいまいちな理由は、 CMS に関わる仕事をしている人の 90% 以上が「 CMS が無料かどうか」という軸で CMS を分類していないから です。 加えて、 無料の CMS という軸があまり価値を持たないから です。

業界の人は CMS に「無料か有料か」という軸をあまり使わない

一般の方が CMS に対して「無料か有料か」という見方をするのに対して、業界の人たちの多くは CMS を次の軸で分けて見ています。

  • a) オープンソース CMS
  • b) プロプライエタリ CMS

「オープンソース」( open source )というのは、 CMS に限定されないソフトウェア一般の用語で、「 ソフトウェアのソースコードが一般に公開されていて、原則誰もがそれを入手・利用できるソフトウェア 」のことです。 オープンソースにもさまざまな種類があり、ライセンス・所有権についてはソフトウェアによってまちまちです。 例えば、 WordPress や Drupal 等のメジャーなオープンソース CMS は「 GPL 」と呼ばれるライセンスのもとで公開されています。

オープンソースのソフトウェアは誰でも入手できるため結果として無料になるのですが、「無料」が主ではなく、「オープンソース」が主でその一側面として「無料」がある、ということが実はとても重要なポイントです。

ですので、 「 CMS 無料」ではなく「 CMS オープンソース」という軸で探す方が断然よい情報を得ることができます (「 CMS 無料」で検索してこのページに来られた方は検索し直してください :) )。

ちなみに、もう一方の「プロプライエタリ」( proprietary )というのは、「所有権のある」「私有の」といった意味合いのことばで、一般には特定の企業が開発し、ソースコードを社外に公開していないタイプのソフトウェアのことを指すときに使われます。 プロプライエタリは日本語ではよく「商用」と訳されますが、これは誤解を生むので適切では無いと私は考えます。 「商用」と言われるとその対義語は「非商用」なはずですが、オープンソースは「非商用」という意味ではありません。 どうしても日本語に翻訳したいのであれば、「商用」よりは「企業製」といったことばを使う方がよいと思います。

オープンソースとプロプライエタリは完全に相補的な対義語ではありませんが、一般には、 CMS はオープンソースかプロプライエタリかという軸で分けられることが多いように思います。

「無料の CMS 」というポイントはあまり役立たないから

「 CMS 無料」という検索ワードがよくない理由がもう 1 つあり、それは 「無料の CMS 」というポイントがあまり役立たないから というものです。

もちろん、ビジネスで利用するツールの調達コストは低ければ低いほどよいので、無料がいちばんと考える気持ちはわかるのですが、それよりも 大事なのはコストと価値のバランス=費用対効果 です。

CMS がたとえ無料でも、その導入には一定のコストがかかります。 自社のリソースだけで導入する場合は、学習コストや教育コストがかかります。 逆に、社外のリソース――制作会社やコンサルタントに協力を求める場合は、導入やトレーニングのコストがかかります。 いずれにせよ一定のコストがかかることは避けることができません。 1 本 1 億円といった価格帯の CMS はまた別かもしれませんが、重要なのは、この世の大多数の CMS 導入プロジェクトにおいて最も高いのは人件費であり CMS そのものにかかるコストは全体からの割合としては高々知れている ということです。

プロプライエタリ CMS の肩を持つわけではありませんが、ビジネスで CMS を利用するときに重要なのは、 CMS が無料かどうかではなく、プロジェクト全体で見たときの費用対効果です。 別記事でも述べていますが、 CMS そのものはウェブプロジェクトのごく一部であり、 CMS よりも重要な KSF (成否を左右する要因)はたくさんあります

ですので、制作会社をお探しの方は、「扱っている CMS が無料かどうか」という点を制作会社選定の判断軸に使わないように注意してください。

以上 2 つの意味において「 CMS 無料」という検索ワードでの検索はあまりよいものだとはいえません、というお話でした。 ご参考になれば幸いです。

というわけで、「 CMS 無料」で検索してこの記事にたどり着いた方は、「 CMS オープンソース」等で早速検索し直してみてください ;)