どんな場合に WordPress を使うべきか
今回は、ビジネス用途のサイト構築に関して どのような場合に WordPress を使うべきか について語ってみたいと思います。
発注者・依頼者側の方に向けて書いているので、発注をご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
前提として、構築するサイトはビジネス用途のものと想定しています。 趣味や勉強等が目的のサイト制作にはあてはまりませんのでご注意ください。
背景として、筆者は以下のプラットフォームを使ったサイト制作の経験があります。
- WordPress
- WordPress 以外の CMS
- ウェブアプリケーションフレームワーク
これらの経験から、サイト制作のプラットフォームには唯一絶対の答えはなくて、目的と状況に合ったプラットフォームを使えばよいと考えています。 「 WordPress がベスト」とも「 WordPress なんて絶対に無し」とも思っていないため、ニュートラルな視点からの意見が言えるものと思います。
では早速 WordPress を使うべきパターンからあげていきます。
パターン A: サイトにかかる費用を抑えたい
ビジネスでサイトを作る場合は、初期費用としての「制作費」と、ランニング費用としての「保守費」がかかります。 これらをできるかぎり抑えたいときには WordPress が有力な選択肢となります。
2019 年時点で WordPress は CMS シェアの 60% 以上を占めており、それを反映して取り扱える制作会社の数も圧倒的です。 WordPress は公開されているノウハウの量が多く、制作会社間の価格競争も進んでいるため、「予算的に他の CMS では難しい場合でも WordPress では可能」ということがよくあります。
ただし、「予算は数万円しかない」というぐらいに予算が極端に少ない場合は WordPress を選ぶのはやめた方がよいでしょう。 WordPress をはじめとした CMS を安全に利用するには相応のコストがかかるため、予算が極端に少ない場合はそもそも CMS を利用するべきではありません。
パターン B: 構築したいサイトは一般的な機能のものだ
何か特殊な機能があるわけではなく、ごく一般的な企業サイトや店舗サイトが作りたい、というときにも WordPress は有力な選択肢です。
これは WordPress にかぎらず CMS 全般に言えることですが、サイトによくある一般的な機能を高品質に・速く・安く作れるというのが CMS の最大のメリットです。 「よくあるサイト」の範囲に収まるものであれば WordPress その他の CMS で作るのに向いています。
逆に、特殊な機能、一般的でない機能の多いサイトを構築するのには CMS が最適な選択肢とならない場合がよくあります。 ただ、この「一般的かどうか」という基準はある程度知識が無いと判断が難しいところです。
パターン C: 構築後の保守に一定の費用をかけることができる
上のパターン A のところで少し述べましたが、 WordPress を利用する場合は一般にランニング費用としての「保守費」がかかります。 実際には、 WordPress 本体のアップデートや問題が起こったときの対処に手間(=人件費)がかかります。
そのため、レンタルサーバとドメインの費用以外にランニング費用は一切かけたくない、というような場合は WordPress は導入すべきではありません。
ランニング費用の予算を立てずに CMS を利用することは、整備を一切行わずに自動車に乗り続けるようなものです。 本人はよくても他人に迷惑をかける可能性があるため、保守に費用をかけられないのなら原則 CMS の利用は NG です。
パターン D: WordPress 以外の CMS を知らない
上述のとおり WordPress は CMS の世界で圧倒的なシェアを持っているので、「 WordPress は知っているけど、他の CMS は知らない」という方も多いことかと思います。 WordPress 以外の CMS を一切知らないような場合は、迷わずそのまま WordPress を選べばよいでしょう。
WordPress はたまたまシェアが高いのではなく、最も定番で王道的・標準的な CMS となっています。 そのため、「他の CMS では実現できるが WordPress では難しい」なんてサイトはそうそうありません。
WordPress 以外の CMS について調査する時間がたっぷり取れるならそうすればよいですが、そんな時間はなくてとりあえず WordPress しか知らないという場合は、 WordPress を選んでおけば大きく間違うことはそうないでしょう。 逆に WordPress 以外の CMS を知っていて、それが WordPress よりもよいと思う場合は、シェア等を考慮して無理に WordPress を選ぶ必要はありません。
パターン E: 複数の CMS の中からどれを選ぶべきか迷っている
WordPress を含むいくつかの CMS が候補としてあり、その中からどれを選ぶか決めきれないような場合も、 WordPress を選んでおくとよいでしょう。
上述のとおり WordPress は CMS の世界で圧倒的なシェアを持っています。 公開されているノウハウの量も、扱える制作会社の数も他とは比較にならないほどです。 WordPress を選んでおけば、万が一制作会社に何か問題が起こった場合のリスクや、 CMS の作りが大きく変わってしまってバージョンアップが行えない問題は他の CMS に比べると少ないので、他の CMS を選ぶべき決定的な理由があるというのでなければ、 WordPress を選んでおくとよいでしょう。
パターン F: 信頼できる制作会社が WordPress に強い
信頼できる制作会社が WordPress を得意としている場合も WordPress を選んでおくと間違いありません。 これは WordPress にかぎらず他の CMS やウェブアプリケーションフレームワークにも言えることですが、ウェブ制作プロジェクトの CSF としては「プラットフォーム」よりも「パートナー」の方が断然重要です。 協力を依頼するつもりの制作会社や個人事業の方がすでに WordPress に強い場合は、迷わず WordPress で作ってもらいましょう。
ということで、ビジネス用途のサイトを構築したいとき、どんな場合に WordPress を使うのがよいかというお話でした。
これからサイト制作を依頼しようとしている方は、参考にしてみてください :D