ウェブサイトリニューアルの目的・メリットとは
今回は「 ウェブサイトをリニューアルすることの目的・メリット 」というテーマでお話しします。
企業のウェブサイト(≒ホームページ)のリニューアル周期は短ければ数年、長くても 10 年程度が一般的です。 企業がウェブサイトを持つことが当たり前の時代になって 10 年以上経っていることもあり、近年ではサイト構築プロジェクトの大半は新規構築ではなくリニューアルです。
既存のサイトを使い続けていればリニューアルの費用はいらないのに、なぜ多くの企業は何年かに一度ウェブサイトをリニューアルするのでしょうか?
リニューアルの目的は「環境の変化への対応」
企業がウェブサイトのリニューアルを定期・不定期的に行う目的を一言でいうと 環境の変化に対応するため です。 現行サイトのシステムを使い続けるよりも作り直した方がより環境に適した戦略とアクションが取れるという判断をしたときに企業はリニューアルを行います(合理的な判断ができるという大前提があります)。
ここで「環境」というのは広義の意味合いで使っており、ビジネスを取り巻くあらゆる条件のことを意味しています。 ビジネス分析で定番の「外部」と「内部」の 2 つの視点から、サイトリニューアルの目的とそれに対応する環境の変化の具体例をご紹介します。
外部環境の変化に対応する
外部環境とは会社を内と外に分けたときの外の方の環境のことです。 狭い視点だと顧客・競合・取引先・代替商品等の「市場環境」、広い視点だと PEST (政治・経済・社会・技術)等の「マクロ環境」があります。
具体例をいくつかあげてみます:
外部環境の変化 | サイトリニューアルのポイント |
---|---|
競合のサイト品質の向上 | サイト構成の変更 / 効率的な投稿ワークフローの導入 |
顧客層が利用するウェブ端末の変化 | レスポンシブ化 / モバイルファースト化 |
顧客層のウェブ利用の増大 | サイト内のリッチメディアの拡充 / サイトナビ UI の改善 |
通信速度・容量の向上 | サイト内のリッチメディアの拡充 / 画像・動画品質の向上 / パフォーマンス強化 |
法律の変更 | 規約の変更 / 法律関連の記述の追加 |
検索エンジンのページ評価基準の変更 | サイト構成・ページ構成の変更 / HTML テンプレートの変更 / https 化 |
新規ウェブサービスの登場 | 新規サービスの導入・統合 |
協力会社の利用技術の変化 | 利用 CMS ・サービスの変更 |
リニューアルの目的には「必ずこれ」と言った絶対の答えはありません。 ビジネス環境は企業によって異なるので、リニューアルの引き金となる外部環境の変化も企業・プロジェクトによってまちまちです。
内部環境の変化に対応する
続いて内部環境の場合です。 内部環境とは、文字どおり企業の「内」の環境です。 外部環境が基本的にはコントロール不可能なものであるのに対し、内部環境は企業がコントロールが可能なものです。
具体的には、サイト以外の変化とサイトそのものの変化に分けるとわかりやすいでしょう。 サイト以外の変化の例は、事業ドメインや戦略の変化、サイト運用業務の変化等です。 サイトそのものの変化は文字どおりサイトそのものの変化です。
こちらも典型的な例をいくつかご紹介します:
外部環境の変化 | サイトリニューアルのポイント |
---|---|
顧客セグメントの拡大 | サイト構成の変更 / 導線の変更 |
事業ドメインの拡大 | サイト構成の変更 / コンテンツの拡充 |
運用業務の効率低下 | 編集 UI の改善 / 編集サポート機能の追加 |
運用チームの拡大 | 同時編集機能の導入 / 編集者向けサイトパフォーマンスの改善 |
他システムとの連携の必要性 | 連携機能の追加 |
サイトパフォーマンスの低下 | 利用 CMS の変更 / 脱 CMS |
利用 CMS のサポート切れ | 利用 CMS の変更 / 脱 CMS |
利用 CMS の信頼低下 | 利用 CMS の変更 / 脱 CMS |
こちらも外部環境と同じく、リニューアルの目的・メリットはさまざまです。
ということで、「これがリニューアルの目的です」という唯一絶対の答えはなく、目的は会社によってもサイトによってもさまざまというのが実情です。
実態としては数年ごとにサイトリニューアルを行う企業が多いですが、「 3 年で変えないといけない」といった標準的なルールがあるわけではないので、他社の動向に引っ張られる必要はありません。
あくまでも自社の環境を見て、「自社の環境の変化(新たな機会や脅威)に現行のサイトでは対応しきれていないな」という判断ができたときにリニューアルを検討するのがよいと思います。