Dyno

ビジネスサイトへの CMS の導入方法

ビジネスで使用するウェブサイトに CMS を導入する方法をまとめました。

ウェブや CMS の世界にあまり詳しくない方にもわかりやすくと心がけたので、ウェブ制作の依頼や CMS の利用がはじめての方もぜひ参考にしてみてください。

尚、 CMS の「導入」ということで、今回は「 CMS の入っていない静的なサイトをすでに持っている」か「まだサイトを持っていない」という状況を前提にしています。

導入のプロジェクトがある程度進んでこれば次に何をやればよいかは自然と明確になりますが、最初のうちはどこからどう始めればよいのかわからないことも多いと思います。 ということで、最初の部分を厚めに説明しています。

まず最初に CMS とは何ぞやという説明をかんたんにした上で本題に入ります。

CMS とは?

CMS とは「ウェブサイトを楽に管理するためのソフトウェア」のことです。

狭義には単体のソフトウェアやサービスを意味しますが、広義にはいくつかのソフトウェア・ハードウェアの組み合わせのことを意味することもあります。 本記事では前者の単体のソフトウェアやサービスの方をイメージして CMS という言葉を使います。

世界的に有名な CMS のソフトウェアやサービスには WordPress ・ Joomla! ・ Wix ・ Squarespace などがあります。

参考:

CMS はウェブサイトの構築・運用に必須のものというわけではありません。 CMS を使わなくてもウェブサイトの構築・運用は可能です。 しかし、ウェブサイトからそれなりの成果を生むにはウェブサイトの継続的な更新と改善が不可欠です。 そして、ウェブサイトの継続的な更新と改善は CMS を使った方がだんぜん効率的に行えます。

ウェブサイトに CMS を使うことは、営業担当者が客先への移動に自動車や電車などの乗り物を使うことに似ています。 乗り物を使わなくても営業活動は可能ですが、便利な乗り物を使った方がだんぜん効率的で、余計な負担をへらすことができます。

続いて本題の、ビジネスサイトに CMS を導入する方法についてです。

ビジネスサイトへの CMS の導入方法

ビジネス用途のウェブサイトに CMS を導入する流れはおおよそ次のとおりです。

  1. 全体方針を決める
  2. 要件を整理する
  3. 協力先と CMS の調査をする
  4. 協力先と CMS を決めて導入を行う

1. 全体方針を決める

最初に全体的な方針を決めます。 ここでは最低限以下のポイントを押さえます。

  • A) 社内でやるか外部に依頼するか
  • B) どのタイプの CMS を使うか
  • C) どのぐらいのコストをかけるか
  • D) どのくらいの期間をかけるか

これらは 5W1H でいうと WHO ✕ WHAT ✕ HOW MUCH ✕ WHEN です。

A) 社内でやるか外部に依頼するか

CMS の導入を自社だけで行うのか外部の専門家に協力してもらいながら行うのかです。 「会社を興したばかりで、出ていくお金をできるだけ減らしたい」「社内に CMS の導入に長けた人がいる」といった特殊な場合は社内でやるのもありですが、基本的には外部の専門家に依頼することをおすすめします。 よほどの事情がないかぎり、社内でやるよりも専門家に依頼してやった方が成果が出やすく費用対効果も高くなります。

B) どのタイプの CMS を使うか

ビジネスで利用する CMS を選ぶときの代表的な選択肢に次の 2 つがあります。

  • 設置型 CMS を使う
  • クラウド型 CMS を使う

前者は、無償で公開されているオープンソースの CMS を自ら(または専門家に依頼して)ダウンロードし、自ら調達したウェブサーバーに設置して使用するやり方です。 後者は、ウェブサービスとして提供されている CMS をそのまま使うやり方です。

厳密にはこれらの他にも選択肢もありますが、新たに CMS を導入するときにまず最初に検討すべき選択肢はこの 2 つなので、このどちらにするかを考えておくとよいでしょう。

C) どのぐらいのコストをかけるか

CMS の導入と保守にどのくらいのコストをかけるかです。 重要なのは、イニシャルコストとランニングコストの両方を含む「全体のコスト」を考えることです。 加えて、数字として見えやすい金銭的なコストだけでなく、手間や機会コストなども含めた広義のコストを考慮することが重要です。

ここでは「コスト」と言っていますが、 CMS 導入にかけるコストは正確にはコストではなく「投資」です。 CMS を導入した結果どのようなリターンが期待できるのか。 リターンの経済的価値はどのくらいなのか。 どのようなリスクが考えられるのか。 これらのポイントを踏まえて、投資額として適切な予算を割り出すことが重要です。

D) どのくらいの期間をかけるか

CMS の導入をどのくらいの期間かけて行うかです。 別の言い方をすると、「いつまでに CMS の導入を完了させたいか」です。 いつ頃どのような成果がほしいのかを先に考えて、そこから逆算して期間を設定します。 ただし、ここで考えた期間はあくまでも自社都合のものなので、あまり固執しないようにすべきです。

2. 要件を整理する

全体方針が決まったら、次に要件の整理を行います。 「要件」というと専門用語のようですが、要は英語の「 requirements 」の訳で「押さえるべきポイント」のことです。

「ウェブサイト」と「 CMS 」「プロジェクトチーム」の 3 つの切り口で「押さえるべきポイント」としてどのようなものがあるかをリストアップします。

ここでも重要なのは「目指すべきゴールを先にイメージし、逆算思考で必要なものを考える」ということです。 目を惹くインパクトのある機能に惑わされずに、それぞれの機能や特性がゴール達成にどう役に立つのか、十分なインパクトがあるのかという本質をよく見て取捨選択を行うことが重要です。

要件のリストアップが済んだら、前のフェーズで決めた全体方針を見直して、矛盾する点や見直すべき点がないかをチェックします。 問題点があれば調整し、問題点がなくなれば次へと進みます。

3. 協力先と CMS の調査をする

続いて、協力先と CMS の調査を行います(社内だけで実施する場合は CMS の調査だけを行います)。

協力先については、前のフェーズで決めた「プロジェクトチームの要件」を念頭において探します。 なんとなくよさそうなところをピックアップするのではなく、「自社ではまかなえない部分を補完してもらう」という視点で選ぶことが重要です。

CMS についても同様に、前のフェーズで決めた「 CMS の要件」を満たしてくれそうな CMS をリストアップします。 CMS の調査をどれほど入念に行うべきかは CMS の導入を外部に依頼するかどうかで変わります。 外部に依頼する場合は、依頼先に CMS に関する情報を提供してもらったり選定そのものを手伝ってもらったりするという手があります。 逆に自社だけで行う場合は、要件に合わない CMS を選んでしまうことを避けるため、十分な時間をかけて調査を行う必要があります。

4. 協力先と CMS を決めて導入を行う

協力先と CMS の候補がリストアップできたら、あとはそれらをひとつずつ評価して最終的に協力先と CMS を選定します(社内だけで実施する場合は CMS だけ選びます)。

協力先については、相手側の都合や条件もあることなので、依頼を断られることももちろんあります。 断られた場合に「ゼロから調査し直し」にならないよう、候補を一本に絞るのではなく複数リストアップしておくことをおすすめします。

この後は、見積もりや契約書の取り交わしなどを経て、実際に導入プロジェクトを進めていくことになります。 この後の流れは一般的なウェブ制作の流れと同じなので、説明は割愛します。

まとめ

ということで、ビジネスで利用するウェブサイトに CMS を導入する方法についてでした。 大まかな流れは次のとおりになります。

  1. 全体方針を決める
  2. 要件を整理する
  3. 協力先と CMS の調査をする
  4. 協力先と CMS を決めて導入を行う

1 〜 3 は必ずしもこの順番で進める必要はありません。 特に知識や情報が不足している場合は、先に調査をしてある程度の前提知識を得てから進めた方が進めやすいので、状況に合わせて進めやすいところから始めてみてください。

また、 1 〜 3 のステップは一度かぎりで終わるとはかぎりません。 新たな情報や知識を得ると考え方や採りうる選択肢が変わることもあるので、その場合は必要な調整を行った上で前に進むようにしてください。

CMS 導入を検討している方のご参考になれば幸いです :D