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【 2020 年】世界シェア上位 20 CMS まとめ

追記: 2024 年版はこちら ↓ です。


今回は 2020 年時点で世界全体でのシェアがトップ 20 位に入る CMS がどんな CMS なのかを調べてまとめました。 CMS の乗り換えを検討中の企業のウェブ担当の方や制作会社の戦略担当の方のご参考になれば幸いです。

今回情報源として参考にしたのは W3Techs のデータです:

このデータを参考にする上で留意点が 2 つあります。 ひとつは CMS の利用数を正確に計測するのは原理上難しく精度に限界があること、もうひとつは CMS の利用数は集計方法によって大きく変わることです。 このデータが実態と大幅に乖離している可能性は低いと思いますが、 100% 正確なデータとしてではなくあくまでおおよその傾向値として参考にするようにしてください。

また、世界全体での CMS シェアと日本国内の CMS シェアは結構異なります。今回ご紹介するのは「世界全体でのシェア」なのでその点にもご留意ください。

世界シェア上位 20 CMS

W3Techs によると、 2020 年 1 月 1 日時点のシェア上位 20 CMS は次のとおりです。

順位 名前 シェア 5 年前対比
1 WordPress 62.1% +1.4%
2 Joomla 4.6% -4.0%
3 Shopify 3.4% +2.7%
4 Drupal 3.0% -2.1%
5 Squarespace 2.7% +2.2%
6 Wix 2.3% +2.0%
7 Bitrix 1.5% +0.4%
8 Blogger 1.5% -1.4%
9 Magento 1.5% -1.3%
10 PrestaShop 1.1% -0.1%
11 TYPO3 0.9% -0.7%
12 OpenCart 0.8% -0.1%
13 Weebly 0.6% +0.2%
14 Adobe Dreamweaver 0.5% (データ無し)
15 Progress Sitefinity 0.4% +0.2%
16 Bigcommerce 0.4% +0.0%
17 DataLife Engine 0.4% -0.5%
18 GoDaddy Website Builder 0.4% +0.2%
19 FrontPage 0.4% (データ無し)
20 DNN 0.3% -0.3%

「 5 年前対比」というのは、 5 年前の 2015 年から 2020 年にシェアがどれだけ変化したかです。 + のものは 5 年前から増加したもの、 - は減少したものを意味します。

大きく伸びているのは Shopify ・ Squarespace ・ Wix の 3 つです。逆に Joomla! ・ Drupal ・ Blogger ・ Magento ・ TYPO3 あたりは大きく下落しています。

上から順に見ていきましょう。

1. WordPress

WordPress

WordPress (ワードプレス)はブログエンジンとしてスタートしたオープンソースの CMS です。ウェブサイトの基本形である「更新頻度の低い固定ページ+更新頻度の高いブログ」からなるサイトの構築・運用に向いています。基本的に「 LAMP スタック」と呼ばれる Linux + Apache + MySQL + PHP という技術の上で動く CMS です。

最大の特徴はその圧倒的なシェアです。 CMS マーケットにおいて 60% 以上ものシェアがあり、これは WordPress 以外のすべての CMS の合計の数よりも WordPress の利用数が多いことを表しています。そのため「 CMS イコール WordPress 」という一般の方がよく抱いている認識はあながち間違っていません。以前に比べると勢いは鈍化していますが近年もじわじわシェアを伸ばし続けています。

日本国内での知名度も非常に高く、おそらくこの記事を読んでいる人の中で WordPress のことをまったく知らないという方はいないでしょう。

2. Joomla

Joomla

Joomla! (ジュームラ)は基本機能が豊富なオープンソースの CMS です。 10 年以上もの長きにわたり WordPerss に続く 2 位の座を維持してきた人気の CMS です。 WordPress と同じく LAMP スタックの上で動きます。

絶対数での利用数は多いですが、近年は急速にシェアを落としています。これから新たに採用するときにはその状況と将来発生しうるリスクを理解した上で選択するのがよいでしょう。

3. Shopify

Shopify

Shopify (ショッピファイ)は ECommerce サイトを構築・運用するためのクラウド型プラットフォームです。 ECommerce に必要となる商品・在庫・販売・配送等の管理機能を一式備えており、プログラミングの知識がなくても ECommerce ショップを開くことができます。

Shopify ストアから直接販売する形だけでなく、 Instagram ・ Facebook ・楽天市場等他販売チャネルとの情報連携もできるそうです。 CMS というよりもオンラインショップサービスと言った方がわかりやすいかもしれません。

近年英語圏を中心にシェアを急速に伸ばしています。 1 位 2 位がどちらもオープンソースの CMS なので、 Shopify は純粋なクラウド型の CMS としてはシェア 1 位ということになります。

4. Drupal

Drupal

Drupal (ドゥルーパル)は基本機能が豊富なオープンソースの CMS です。 2015 年にリリースされた Drupal 8 以降では「エンタープライズ向け CMS 」というポジショニングでアピールしています。 W3Techs によるとトラフィックの多いサイトで多く利用されているようです。

WordPress ・ Joomla! と同じく PHP というプログラミング言語で書かれています。プログラマー向けの低レイヤーの機能を多数備えており、 CMS とフレームワークの特徴をあわせ持つという意味で「 CMF 」(コンテンツマネジメントフレームワーク)と呼ばれることもあります。

WordPress と Joomla! に続く第 3 位の座を 10 年以上守ってきましたが、近年はシェアの下落が止まらず 2019 年には Shopify に 3 位の座を奪われてしまいました。今のトレンドがこのまま続くと 2020 - 2021 年のうちに Squarespace と Wix にも抜かされる見込みです。 2020 年 6 月にリリースされる Drupal 9 でシェアの回復が期待されます。

5. Squarespace

Squarespace

Squarespace (スクエアスペース)はクラウド型の CMS です。直感的にサイトが作れる UI と洗練されたレスポンシブ対応のテンプレートが特徴です。アメリカのニューヨークに拠点を置く Squarespace 社が展開しています。

クラウド型の CMS として、ドメインの取得からサーバーの契約・ HTTPS 対応・サイトの公開までを Squarespace ひとつで完結することができます。ただし、 2020 年時点では日本には展開していないようで、日本語の UI が提供されていません。世界的には盛り上がっていますが、日本での採用はまだ一部にかぎられるのかもしれません。

6. Wix

Wix

Wix (ウィックス)はクラウド型の CMS です。 Squarespace と同様に、専門的な知識がなくてもウェブサイトを作成・公開できる一連の機能を提供しています。また、サイトロゴを作成するためのログメーカーや、追加のデータベースを扱える機能、サードパーティアプリ機能等、プラスアルファのユニークな特徴を多数備えています。ドメイン名と同じ名前の Wix.com 社が展開しています。

Wix は Squarespace とは異なり日本にも展開しており日本語での UI を利用することができます。日本での知名度・普及率はまだそれほど高くないようですが、中小のお店やフリーランスには十分な機能が備わっているため、何かきっかけがあれば中小のビジネスを中心に急速に普及する可能性があると思います。

7. Bitrix24

Bitrix

( W3Techs では「 Bitrix 」とされていますが、ここでは「 Bitrix24 」として紹介します)

Bitrix24 (ビトリックストウェンティフィー)は Bitrix24 社が提供するコラボレーションプラットフォームです。 Bitrix24 には CRM ・プロジェクトマネジメント・チャット・ファイル共有・ウェブサイト管理等、ビジネスにおけるコミュニケーションを円滑にするためのさまざまなツールが含まれており、そのウェブサイト管理の部分を W3Techs では CMS としてあげているようです。

8. Blogger

Blogger

Blogger (ブロガー)はブログを作るためのクラウドサービスです。 Google 社が提供しています。世界的にはユーザーが多いようですが、実際に使うユーザーとしての印象では Google のサービスのわりには日本での知名度はあまり高くない感じがします。

経緯的には、もともとは別の会社のもので、 Google が 2003 年に買収しその後は Google のサービスとして展開されています。

近年もちょこちょこと改善を続けていますが、 Google は過去に Google Buzz や Google+ で CGM 系のサービスを廃止にした過去があるので、 Blogger も将来的に同じ運命を辿る可能性が無いとは言い切れません。

9. Magento

Magento

Magento (マジェント)は ECommerce サイトを管理・構築するためのクラウドサービスです。もともとはオープンソースソフトウェアでしたが、 2016 年に Magento 専用のクラウドサービスがスタートし、それ以降は前者を「 Magento Open Source 」、後者を「 Magento Commerce 」と呼んで区別しているようです。オープンソースのものもまだ存在はするようですが、今ではおそらく Magento と聞くとクラウドサービスの方をイメージする人が多いのではないかと思います。

2018 年に Adobe 社が買収し、現在は Adobe ブランドのもとで展開されています。

10. PrestaShop

PrestaShop

PrestaShop (プレスタショップ)は ECommerce サイトを構築・運用するためのオープンソースソフトウェアです。他の多くの CMS と同様 LAMP スタック上で動作します(ただしウェブサーバーは Apache 以外に Nginx 等も利用可)。同名の PrestaShop 社が開発しています。

11 位以下は日本ではマイナーなものもちょこちょこ出てくるので、かんたんな説明で行きます。

11. TYPO3

TYPO3

TYPO3 (タイポスリー)はオープンソースの CMS です。 Drupal 等と同じく「エンタープライズ向け」をアピールポイントにしています。 PHP というプログラミング言語で書かれています。

12. OpenCart

OpenCart

OpenCart (オープンカート)は ECommerce サイトを構築・運用するためのオープンソースソフトウェアです。 WordPress 等と同じ PHP というプログラミング言語で書かれています。同名の OpenCart 社がオープンソースとして開発しています。

13. Weebly

Weebly

Weebly (ウィーブリー)はクラウド型の CMS です。通常のウェブサイトに加えて ECommerce サイトの構築・運用も行えます。洗練されたデザインのサイトを直感的な操作で構築・管理できるという意味では、 Squarespace や Wix と近い位置づけのサービスです。

2018 年に決済サービスで有名な Square 社に買収されました。私の記憶では以前は ECommerce 機能は無かったので、おそらく Square 社に買収される前後で ECommerce 機能が追加されたのではないかと思います。

14. Adobe Dreamweaver

Adobe Dreamweaver

Adobe Dreamweaver (アドビドリームウィーバー)は有償のウェブオーサリングツールです。知らない方のために補足すると、 Adobe が社名で Dreamweaver がソフトウェア名です。 Dreamweaver は他の CMS とは異なり、 Windows 等の作業用マシンに入れて使うタイプのソフトウェアです。

もともとは Macromedia という会社のもので Macromedia Dreamweaver という名前でしたが、 Adobe 社が 2005 年に Macromedia 社を買収したため Adobe 社のものとなりました。 WordPress が普及する前の 2000 年一桁台前半は、「ホームページビルダー」と並び「誰でもかんたんにウェブサイトが作れるソフト」の代表格でした。

Dreamweaver を CMS に含めるかどうかは人によって意見がわかれます。広義の CMS には含めても、狭義の CMS (=一般的な使い方の「 CMS 」)には含めないという考えの人がおそらく多数派です。

15. Progress Sitefinity

Progress Sitefinity

Progress Sitefinity (プログレスサイトフィニティ)は Progress 社が開発する非オープンソースの CMS です。今回調べたかぎりでは日本ではビジネスを展開していません。

16. Bigcommerce

BigCommerce

BigCommerce (ビッグコマース)は ECommerce サイトを構築・管理するためのクラウド型サービスです。同名の BigCommerce 社が開発しています。

公式サイトによると、複数チャネルでの販売の管理や API を利用した「ヘッドレスコマース」にも対応しているとのことです。回調べたかぎりでは日本ではビジネスを展開していません。

17. DataLife Engine

DataLife Engine

DataLife Engine (データライフエンジン)は非オープンソースの CMS です。ロシアあたりに拠点を置く SoftNews Media Group 社が開発しています。

情報が少なくてよくわかりませんが、 WordPress 等と同じ LAMP スタックの上で動くとのことです。今回調べたかぎりでは日本ではビジネスを展開していません。

18. GoDaddy Website Builder

GoDaddy Website Builder

GoDaddy Website Builder (ゴーダディウェブサイトビルダー)はウェブホスティングサービスで有名な GoDaddy 社が展開しているクラウド型のサービスです。詳しいところはわかりませんが、 Squarespace や Wix に似たサービスだと考えるとよいでしょう。

19. FrontPage

FrontPage (フロントページ)は Microsoft 社が開発していたウェブオーサリングツールです。一時期は Microsoft Office の上位版に動向んされていたそうです。 2003 年に開発が終了しており、動作条件となる Windows のサポートも終了しているので、もう現役ではないはずなのですが、まだ使っている人がいるのでしょうか……

( URL なし)

20. DNN

DNN

DNN (ディーエヌエヌ)は Microsoft .NET ベースの CMS ・ウェブアプリケーションフレームワークです。オープンソース版と非オープンソース版が開発されています。オープンソースのエクステンションを使うと CMS 機能が強化できるようです。 DNN の前は DotNetNuke という名称で、 W3Techs のランキングでは DotNetNuke という名前になっています。

まとめ

ということで、世界シェア上位 20 の CMS をご紹介しました。 興味が湧いたものがあった方はぜひ公式サイト等でチェックしてみてください。

追記 2020/08/18

今回はシェアの絶対数が多い CMS をご紹介しましたが、次の記事ではシェアの伸びが大きなものをご紹介しています。 興味のある方はご覧になってみてください。

追記 2021/05/02

2021 年のトップ 20 についてもまとめました。