Dyno

WordPress がこれほどまで人気な理由

2019/06/05

今回は CMS を使ってサイト構築を行うウェブ技術者の立場から WordPress が人気な理由 について説明してみたいと思います。

最初に 2 点お断りします。

  • 本記事の想定読者は、中小企業の経営者・ウェブ担当者の方です。
  • 本記事の筆者にとって WordPress は「利用する CMS のひとつ」です。要件に合えば WordPress を使いますが、強いて WordPress を使いたい理由は特に無いので、この記事には「 WordPress を使いましょう」というメッセージは一切ありません。

CMS といえば WordPress

過去記事でも述べていますが、本記事作成の 2019 年時点で「 CMS といえば WordPress 」です。

WordPress の CMS マーケットにおけるシェアは世界全体で 60% 、日本国内では 80% 以上と言われており、 CMS で新たに作られるサイトが 10 個あればその半数以上で必ず WordPress が使われている状況 です。 WordPress と同じように 2000 年前後に誕生した CMS のほとんどが 2010 年代に入ると一貫してシェアを落としていますが、 WordPress はほぼ唯一 2010 年代に入ってもシェアを伸ばしてきました。

WordPress はなぜここまで圧倒的な人気を集めるに至ったのでしょうか。

なぜ WordPress は人気なのか

WordPress の人気の理由を一言で言うなら その特徴と時代の流れがちょうど噛み合ったから と言えるかと思います。

時代の流れに噛み合った WordPress の特徴には例えば次のようなものがあります。

  • ブログ
  • シンプル
  • オープンソース
  • PHP

ブログ

WordPress は 2003 年にブログ特化型の CMS として誕生しました。 2004 年というのは、インターネットが広く普及し、一般の人々が世界に向けて発信できる「ブログ」が大流行し始めた時期です。 すでにその頃には他の CMS が多数存在していましたが、 WordPress は「ブログ」というところに特化することによって人気を集めました。

シンプル

UI/UX ということばは近年でこそ一般用語となった感じがありますが、 2000 年ひと桁代の頃は一部の専門家の間のみが使う専門用語でした。 WordPress はそんな頃から、専門的な知識を持たない人向けの CMS としていち早く UI/UX に注力していました。 その一環として有名な「 5 分間インストール」や「ワンクリックプラグイン導入」「 WYSIWYG エディタ同梱」等が「気軽に自分のブログを持ちたい」と考える多くの人をひきつけました。

オープンソース

WordPress は「オープンソース」のソフトウェアです。 オープンソースの概念の核は「誰でも自由にソースコードを閲覧・利用できること」ですが、その特徴のひとつに「無料で利用できること」があります。 無料であるオープンソースの CMS が、ウェブ制作業界の大部分を占める中小企業と、趣味でブログを書いたりサイトを作ったりする人々から強い支持を集めました。 事実、 2019 年時点でも、 WordPress にかぎらず CMS シェア上位の大半はオープンソースの CMS です。

PHP

WordPress のソースコードは「 PHP 」というプログラミング言語で書かれていますが、 WorPress のシェアが大きく伸びた 2000 年ひと桁代はその PHP 自体が大きく人気を博した時代でした。 PHP の人気が高い → PHP が使えるレンタルサーバーが増える → さらに PHP の人気が高まるという強化のループで PHP 人気は爆発的に高まりました。 2019 年時点で WordPress に次いでシェアの高い Joomla! と Drupal も PHP で書かれているので、「 PHP で書かれていること」が 2000 年代に登場した CMS が大きなシェアを獲得するための必須条件のひとつだったと言えます。

結果として、これらの特徴と時代の流れが噛み合った結果、登場からわずか 7 年後の 2010 年に WordPress のシェアは 50% を越えました。

これらが WordPress が人気 No.1 の CMS になれたおおよその理由です。 他にもさまざまな要因がありますが、他の CMS の状況等も踏まえると、他の CMS との差を生んだ決定的な要因はこのあたりにあると考えてよいものと思います。

なぜ WordPress は人気を保てているのか

さらにその後の 2010 年以降も WordPress はシェアを伸ばし続けますが、その成功要因は 2000 年ひと桁台のものとは少し異なります。

WordPress が人気を維持し続けられた要因には例えば次のようなものがあります。

  • 利用者やテーマ作成者からなる大きな WordPress 生態系ができ人気がさらに人気を呼んだ(いわゆる「ネットワーク外部性」)
  • 人気の CMS になった後もシンプルさという価値を捨てずライトユーザを惹きつけ続けた
  • 既存の利用者を大切にし互換性を保った形での更新を提供し続けた

このあたりについてそれぞれ細かく見ていくこともできますが、やはり一言でいうと、大きいのはネットワーク外部性でしょう。 10 年以上にわたりトップであり続けた WordPress はさまざまな側面で唯一無二な CMS になっていますし、そのポジションが他の CMS によって脅かされるシナリオというのはなかなか思いつきません。

というわけで、 WordPress が人気な理由についてでした。

データを見て検証しないことには確かな裏付けはできませんが、おおよその認識としては間違っていないのではないかと思います。 興味のある方のご参考になれば幸いです :D

……

最後にもう一度お断りですが、筆者は特に WordPress 推しというわけではありません。

自社で利用する CMS は要件と内外の環境から最適なものを選べばよいという考えで、それがたまたま WordPress であれば WordPress を使えばいいし、その他の CMS ならそれでよいと考えています。

むしろ、 CMS はそもそもウェブ施策において重要な要因(= CSF )ではないと考えているので、今回の記事に WordPress を暗に推す意図はありません。 ただ単純に「なぜ WordPress が人気なのか」を説明するためのものなので、深読みはご無用です(笑)